浅漬け騒ぎ (3)浅漬の衛生管理改善?
浅漬け騒ぎ (3)浅漬の衛生管理改善?
2012年10月12日、厚生労働省は「浅漬の衛生管理強化のための通知改正」を発表した。
詳細は、「漬け物の衛生規範」に譲るが、殺菌消毒については以下のような内容である。
殺菌消毒の方法
上記の「漬け物の衛生規範」によれば、次のいずれかの方法により殺菌を行う事とした。
(a) 次亜塩素酸ナトリウム溶液(100mg/ℓで10分間又は200mg/ℓで5分間) 又はこれと同等の効果を有する次亜塩素酸水等で殺菌した後、飲用適の流水で十分すすぎ洗いする。塩素濃度の管理を徹底し、確認を行った時間、塩素濃度及び実施した措置等を記録すること。
(b)75度で1分間、加熱する。温度管理を徹底し、確認を行った時間、温度及び実施した措置等を記録すること。
過去にこのサイトで示した 「浅漬け騒ぎ (1)塩素濃度の比較 で述べた 『塩素濃度の比較』」 と上記の次亜塩素酸ナトリウム溶液 100mg/リットルを比較していただきたい。
浅漬け騒ぎ (1)塩素濃度の比較 で述べた 『塩素濃度の比較』で示した塩素濃度は以下の通りで、何ら改訂されていない。
1.吐物の消毒には、 1000mg/リットル=0.1%(1000ppm)、
2.トイレ回りやドアノブ、衣類の消毒 500mg/リットル=0.05%(500ppm)、
3.上水道の水質基準 1mg/リットル=0.0001%(1ppm)
4.プールの消毒は、 1.2mg/リットル以下=0.00012%以下(1.2ppm)
5.生野菜の消毒は、 200mg/リットル=0.02%(200ppm)で5分、
または 100mg/リットル=0.01%(100ppm)で10分。
加えて、「浅漬け騒ぎ (2)O157に対する次亜塩素酸ナトリウム溶液による洗浄殺菌効果」 で述べたように、
「野菜・果実の洗浄殺菌で単に次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度のみ高めても、期待されるほど殺菌効果が上昇しない。」事を指摘した。
厚生労働省 改正通知の問題点
浅漬けの衛生管理強化のための通知における問題点は、次の3点にある。
1)これまでの殺菌消毒の方法と何ら変更がない。
2)前回の問題点は、浅漬けを製造する施設が何ら塩素消毒を実施していなかった事についての罰則規定がない。
3)「次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度を上げても野菜・果実の洗浄殺菌では期待されるほどの効果が上がらない」と言う殺菌消毒法そのものに何ら改善がない。
厚生労働省が「浅漬の衛生管理強化のための通知改正」と言うには、これまでの繰り返しに過ぎず、浅漬けで7名以上が死亡した問題の改善に取り組んだとは言えないと考えます。