てんかんと運転に関する提言
てんかんと運転に関する提言
日本てんかん学会は、2012年9月27日、「てんかんと運転に関する提言」最終案を公表した。
従来の運用基準
これまではてんかん発作が過去2年間なく、再発の恐れが極めて少ない場合や、発作が意識障害、運動障害を伴わない場合、あるいは発作の再発が睡眠中に限定されている場合に免許が取得できる。
最終案の提言
これに対し上記の最終案の提言では、再発の恐れが極めて少ないと判断する基準について、発作のない期間を1年間に短縮し、その後も同じ治療を継続する場合に見直した。
見方によっては、運転免許取得及び更新手続きにおける緩和とも受け取れる最終提言に思える。
玉虫色の提言では?
多くのてんかん患者は、免許取得あるいは免許の更新の際に、この疾患の治療中であっても、自己申告していなかったり、職場にも知らせていない場合が多かったのではないだろうか。
自己申告を前提としている以上、どのような提言に変えてみたところで、実効性には疑問をぬぐいきれないだろう。
もちろん同症患者の人権は、守られなければならない。
また提言では、「てんかん発作による交通事故をなくするべく必要な措置を講ずるよう努める。」としている。
しかしながら、人権と安全性の確保についてのバランスを保とうとしている結果、安全性の確保に関しては何ら進展していないと受け止められる。
加えて、てんかん学会はてんかん専門医の不足と専門医以外の医師の問題を指摘しているが、てんかん専門医の不足が解消された上で最終提言に沿うなら、自動車運転における安全性を担保出来ると考えているとすれば、甚だしく的を外しているように思える。
繰り返すが、自己申告では結局の所、玉虫色の提言ではないだろうか。