RSウイルス検査の保険適応範囲拡大
RSウイルス検査の保険適応範囲拡大
2019年10月9日時点で、三重県内で流行している疾患は、RSウイルス感染症です。
下のグラフは、三重県感染症情報センターのサイトで流行の兆しが示されているのがRSウイルス感染症(赤色の折れ線グラフ)です。
そこで、このRSウイルスについての基本情報をこの機会に目を通していただきたいと思います。
—————————— 以下の内容は2012年11月に掲載した内容です ———————————
RSウイルス感染症
1才未満児がRSウイルスに感染すると、呼吸器症状が重くなり、後日気管支炎を起こし、不幸な場合には、死に至る事のある恐ろしいウイルス感染症です。
2012年のRSウイルス感染症は、昨年の2~3倍にも急増しています。
RSウイルスはノロウイルスとよく似た時期に流行する事が知られていますが、外来患者さんを診ていて、「いつもと変わらないな」と言う印象を持った私は、公的な機関の見解を調べてみました。
RSウイルス感染症が増加した理由
調べてみた結果、従来までRSウイルス検査を保険で検査できた対象患者は、未熟児、心疾患、白血病などでは、RSウイルスに感染するとで死に至る患者さんに対してのみでした。
ところがこの検査は、昨年(2011年)10月には、上記のような疾患のない1才未満児にも保険適応になったため、RSウイルス感染患者が増加したように見えていることがわかりました。
RS ウイルス抗原迅速検査 医療保険適応の条件
1) 1 歳未満
2) 入院患者
3) シナジス(RS ワクチン)適応患者
<シナジスとは>
RS ウイルスは大人がかかると風邪症状程度ですが、新生児、乳児がかかると重症化し、気管支炎や無呼吸発作のため入院治療が必要となることがあります。
この RS ウイルス感染症の重症化を防ぐ目的で開発されたのがシナジスです。
このシナジスはワクチンではありません。
RS ウイルスに対する特異的抗体を精製したもので効果は約 1 か月です。
流行時期である 9 月~ 3 月の間、毎月投与する必要がありますが、他の予防接種との間隔を考慮する必要はなく、同時接種も可能とされています。
但し、このシナジスの投与にも保険適応範囲がございます。
① 早産児: 28 週以下で 9 月に 12 か月齢以下。 29 週~35 週で 9 月に 6 か月齢以下。
② 24 か月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の児。
③ 24 か月齢以下の免疫不全を伴う児。
④ 24 か月齢以下のダウン症候群の児。
保険適応範囲が広がる前までは、入院患者さんに対してのみの保険適応でした。
従って、当院でRSウイルス感染が疑われるお子さんに対しては、無料で検査をさせて頂いてきました。
そのため、今回の保険適応範囲の拡大は一般診療所の医師には大変ありがたいものです。
あなたのお子さんは、いつもと違う咳を咳をしていませんか?
いつもお子さんの最も身近にいるお母様から、ご自分のお子さんの様子を見て、
・ いつもと様子が違う激しい咳込みで、息が吸いにくそう。
・ 眠れないほど、咳き込む。
・ ミルクを飲まない。
などの呼吸器症状や元気がない などの全身状態を観察して下さい。
いつもと違う咳が出ていましたら、上記の検査を行いますので、迷わず・ためらわずに、ご来院下さい。
あなたのお子さんの様子が、いつもと違うかどうかを一番早く気がつかれるのは、お母さんご自身ですので、大切なお子さんの様子を注意して見守って下さい。
RSウイルス感染症の情報
このサイトで過去に紹介した下記のRSウイルス感染症についての情報もご参照下さい。