オゾン (16)オゾンナノバルブ保存液の殺菌効果
オゾン (16)オゾンナノバルブ保存液の殺菌効果
今回から、オゾンナノバブル水の長期保存後の殺菌活性を検討した下記の報告内容をご紹介します。
タイトル:Microbicidal Effects of Stored Aqueous Ozone Solution Generated by Nano-bubble Technology
訳:「ナノバブル技術によって生み出された貯留オゾン水溶液の殺菌効果」
研究者:MINEAKI SEKI, TATSUYA ISHIKAWA, HIROSHI TERADA, and MASAYUKI NASHIMOTO
研究機関:Research Institute for Healthy Living, Niigata University of Pharmacy and Applied Life Sciences, Niigata, Japan. 新潟薬科大学
公表雑誌:In Vivo. 2017 Jul-Aug; 31(4): 579–583.
背景
強力なオゾンの酸化力は、オゾン水として利用する事で微生物の不活性化や、水中の有機有害物を破壊する殺菌・消毒効果や酸化分解作用から、食品業界に利用されています。
他方、医療分野では、オゾンが粘膜などの軟部組織の衛生維持、殺菌処理を必要とする患部の消毒にも利用され始めています。
その一方で、高濃度のオゾンガスは人体に有害ですが、水溶液中のオゾンは毒性が低く、さらに水溶液中のオゾンは、迅速に自己分解して酸素を生成し、有害な残留物を残しません。
このようなオゾン水溶液の性質は、農業生産物、食品科学および水産業で最も優れた消毒剤の1つになる可能性を持っていると考えられます。
しかしながらオゾン水溶液の貯蔵が困難であると言う問題点もあります。
例えば、20℃での水溶液中でのオゾンの半減期は、一般的に20〜30分で、殺菌活性を活かすにはオゾン水生産の5〜10分以内に使用する必要があります。
この欠点を克服するために、ナノバブルオゾン水(NBOW)が開発されました。
ナノバルブの気泡サイズは、直径200nm未満と小さく、水溶液中では長寿命で高い溶解性を持つ特性があります。
このナノバブルオゾン水(NBOW)の殺菌活性は、歯周病菌に対する殺菌効果と正常な口腔粘膜細胞に対しては細胞障害活性を示さないことが明らかにされています。
この研究の目的は、長期貯蔵後のナノバブルオゾン水(NBOW)の殺菌活性を調べ、さらにナノバブルオゾン水(NBOW)の凍結融解ごの効果についても検討しました。
・・・・凍結解凍後にもオゾン効果が維持されるなら、より長期間の保存が可能になりそうです。
方法1 細菌株
大腸菌株( W3110)と恥垢菌(M smegmatis、スメグマ菌)について、それぞれ37℃で培養・増殖させ、コロニー形成を行い、形成されるコロニー数に及ぼす保存オゾンナノバブル水の影響を調べた。
大腸菌のコロニー形成アッセ-は、10 7個の細菌から形成されるコロニー形成数(CFU、/ ml)を調べた。
スメグマ菌(膣垢菌)のコロニー形成アッセ-は、10 8 個の細菌から形成されるコロニー形成数(CFU、/ ml)を調べた。
結果1 凍結保存したオゾンナノバブル水の殺菌活性
オゾンナノバルブ水(NBOW)の殺菌活性が凍結保存後も持続されているかどうかを検討した。
<図1の見方>
図1の縦軸は、購入したオゾンナノバブル水の解凍直後の酸化還元電位を100%とし、保存期間後の酸化還元電位を相対的に評価した。
図1Aの横軸は、オゾンナノバブル水を25℃で一週間保管した日にちを横軸にとり、
図1Bの横軸は、オゾンナノバブル水を4℃で保管した週数を横軸にとり、それぞれ残留オゾン濃度を測定した。
<図1の結果から解ること>
1) 図1Aのグラフから、25℃で保存したオゾンナノバブル水は、一週間後には10%程度まで減少していた。
2) 図1Bのグラフから、4℃で保存した場合は、一週間後でも90%以上のオゾンが残存し、4週間後でも65%のオゾンが保存されていたことが解ります。但し、一年後にはほとんどのオゾンはなくなっていました。
次回は、-20℃で1年間保管した場合の残存オゾン濃度を調べた結果についてご紹介します。