浅漬け騒ぎ (4)その後20121117
浅漬け騒ぎ (4)その後20121117
厚生労働省食品安全部監視安全課は、2012年11月16日付けで、「浅漬製造施設への立入り調査結果」を公表した。
これは、2012年8月に札幌市等で発生した浅漬による腸管出血性大腸菌O157の食中毒事件を踏まえ、全国自治体において浅漬を製造する施設に対して立入り調査を実施した結果である。
調査結果の概要
- 立入り調査を行った浅漬製造施設は、5,476施設で、指導を行った施設は、4,926施設(90%)であった。
- 22の調査項目のうち、6割以上の項目が適合していた施設は、3,342施設で全体の61%であった。
- 指導項目別では、殺菌が実施されていない又は殺菌を行った記録がない施設が最も多く(4,418施設、81%)であった。
- 施設の衛生管理が適正に行われていない又は施設の衛生管理を行った記録がない施設(3,859施設、70%)、自主検査が実施されていない又は自主検査を行った記録がない施設は(3,844施設、70%)であった。
さて、殺菌消毒をしてなかったり、消毒の記録がない施設が81%もあったという上記の調査結果をどう評価するのだろうか。
浅漬け騒ぎの情報
このサイトで過去に述べた浅漬け騒ぎの情報は以下の通りです。
浅漬け騒ぎ (2)O157に対する次亜塩素酸ナトリウム溶液による洗浄殺菌効果
上記3件の内の「浅漬けの衛生管理改善?」の中で、「厚生労働省 改正通知の問題点」を3点指摘した。 その指摘は次のようなものであった(浅漬の衛生管理改善?の再掲)。
1) これまでの殺菌消毒の方法と何ら変更がない。
2) 浅漬けを製造する施設が何ら塩素消毒を実施していなかった事についての罰則規定がない。
3) 「次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度を上げても野菜・果実の洗浄殺菌では期待されるほどの効果が上がらない」と言う殺菌消毒法そのものに何ら改善がない。
厚生労働省が「浅漬の衛生管理強化のための通知改正」と言うには、これまでの繰り返しに過ぎず、浅漬けで7名以上が死亡した問題の改善に取り組んだとは言えないと考えます。
上記の3つの指摘が、そのまま今回の調査結果に反映されているかの様に思われます。
<私見>
ここで再度、私の見方を3点述べておきたい(浅漬の衛生管理改善?の再掲)。
- 基本的に調査は、洗浄や消毒の徹底や義務化がなされていない現状を示しているのではないだろうか。
- 洗浄や消毒をしていなかった事が原因で、食中毒を招き、人が亡くなったという今年8月の状況を浅漬け製造業者は改善していく意志が感じられない。
- 指導監督は、机上の空論で罰則規定もないため、今後も漬け物による食中毒は繰り返されるだろう。
結論は、市販の浅漬けを食べることは、もはや命がけの冒険のようなもので、かつての中国餃子騒ぎとの差をあまり感じない。長生きするためには、自家製の浅漬けを食しましょう。