寒いときの運動 (1)寒いと基礎代謝は上がる
寒いときの運動 (1)寒いと基礎代謝は上がる
「暑いときの運動」だけでなく、寒いときの運動についてのお問い合わせを頂きましたので、まとめてみました。
基礎代謝の季節変動について ・・・リンクしてます。
基礎代謝量の季節変動は気温の変動と逆の位相で一致するとされていますが、上のリンク先の調査結果でも基礎代謝量のピークは気温の変動よりも約2か月遅れて現れていることがわかります。
<グラフの見方>
下のグラフの縦軸は、基礎代謝の変化を、横軸は1983年3月から翌年2月までの月数を示しています。
◯印は、月ごとの基礎代謝を現し、 ●は、3ケ月毎の基礎代謝の平均を現しています。
上のグラフから、次の事が解ります。
1)基礎代謝は、◯が示す通り83年の7月から11月の夏から秋の間に低下しています。
2)3月から7月の基礎代謝は高く、12月〜2月も高い基礎代謝を示しています。
この結果から、次のことが考えられます。
1)7月〜8月の夏の厳しい暑さで、基礎代謝は低下しているため、11月〜12月にかけて寒さを感じ、急激に基礎代謝が上がっている。
2)基礎代謝が上がっている3月〜6月は、気温の上昇に伴い、基礎代謝は低下している。
・・・・すなわち、気温の変化に応じて身体の恒常性を維持しようとして、基礎代謝が変化していると考えられます。
<私見>
上の結果から、夏の暑さに対応して基礎代謝が下がるため、11月〜12月の気温の低下に伴い、基礎代謝が下がっている状態の身体は、より寒さを感じて基礎代謝を上げていると考えられます。
また、寒い季節に基礎代謝を上げるため、夏場よりも脂っこいものや炭水化物の摂取も増え、体重も増えやすい季節とも考えられます。
基礎代謝を上げる身体の組織は?
安静にしている状態でのエネルギー代謝量である基礎代謝は、一日の総エネルギー消費量の内、約60%を占めます。
この基礎代謝は、上に示した報告から、夏に低く、冬に高いことが解りました。
他方、全身のエネルギー消費量の分布をみますと、骨格筋に占めるエネルギー消費量が大きく、骨格筋量の多い人では基礎代謝が高いことが知られています。
・・・・従いまして、基礎代謝は筋肉量の多い人のほうが少ないヒトよりも高い基礎代謝を示します。
また、生活活動強度(METs)が高いほど1日のエネルギー消費量が大きくなるので、活動的な生活習慣を持つ人の方が、エネルギーが消費されやすくなります。
この生活活動強度(METs、メッツ、metabolic equivalentsの略)は、身体活動の強度を表す単位で、運動や活動によるエネルギー消費量が安静時のエネルギー消費量の何倍に当たるかを表す指標です。
<関連情報>
1)このメッツについては、「適度な運動 (2)運動量の単位メッツとは」ですでにご紹介させていただいています。
2)併せて、「適度な運動・歩行速度と寿命・暑いときの運動 まとめ」も参照いただきたいと思います。
3)65 歳以上の身体活動(生活活動・運動)の基準