限界集落はその後どうなる (4)2018年の現状
限界集落はその後どうなる (4)2018年の現状
上記には、「2018年の現状」としましたが、実際には「2018年の時点でまとめられている限界集落及び過疎地域の調査」を意味します。
従いまして、調査の集計は、2018年以前のデータであることをお断りさせて頂きます。
また、自治体の合併や統合もあると考えられますが、これらの詳細に触れることなく、おおよその数値であることをお断りさせて頂きます。
限界集落数の定義を確認
はじめに、限界集落の定義を確認しておくと、「人口の50%以上が65歳以上の高齢者が占める集落」です。
この限界集落に至るまでの段階は、次のように定義されています。
・準限界集落:55歳以上の割合が半数を超えている段階。
・限界集落 :65歳以上の割合が半数を超えている集落。
・危機的集落:65歳以上の割合が70%を超えている集落。
・超限界集落:それ以上に深刻な場合は「超限界集落」を経てから「消滅集落」となる。
限界集落数の把握2015
国土交通省と総務省は、5年ごとに限界集落の集計を行っています。
2015年(平成28年)9月、下記の報告をまとめています。
2015年(平成27年) 過疎地域等条件不利地域における集落の現況把握調査 (国土交通省、総務省)
2015年(平成27年)4月時点の過疎地域の集落数は、75,662集落であった事が上記リンク先3ページに示されています(下表の赤丸)。
2010年(平成22年)4月時点の過疎地域の集落数は、64,954集落とこちらのリンク3ページに示されています(下表赤丸)。
すなわち、この差は5年間で、10,708集落が過疎集落化した集落と考えられます。・・・2015年の75,662集落 と201年の64,954集落の差
<用語説明> 過疎地域とは
人口が長期間にわたり減少した地域を指します。
総務省が 過疎地域自立促進特別措置法により市町村単位で指定された地域を指します。
その要素として、財政力指数、25年間人口減少率、高齢者率、若年者率などで決められています。
限界集落は5年でどれくらい増えた?
201年(平成27年度)の資料7ページに示されている65歳以上の占める割合が50%を超える限界集落数は、15,568集落(過疎化集落の20.6%)です(下表赤丸)。
他方、平成22年度の資料で、7ページの「集落の高齢者割合1」で示されている限界集落数(65歳以上が50%以上の集落)は、10,091集落でした(下表赤丸)ので、
この5年間で限界集落は、5,477集落増えたと考えられます。
そしてこのページには、さらに5年前(2005年、平成17年)の限界集落数が、 7,878集落であった事も示されていますので、平成17年から平成22年までの5年間で、限界集落は(10,091-7,878=)2,213集落増えたと考えられます。
従って、2010年(平成22年)から2015年(平成27年)までの5年間の限界集落数の増加数(5,477集落)は、2005年(平成17年)から2010年(平成22年)までの限界集落数(2,213集落)の2倍以上増えた事になります。
限界集落発生の原因
限界集落が増える主な原因は、人口の流出とされています。
そして人口流出の要因には次の事が指摘されています。
1) 限界集落での仕事は、農業が中心で、収入が高くなく、仕事の選択肢が少ない。
2) 教育や公的施設、病院などが限られる。
3) 閉鎖的な監修を強いられる生活が求められる。
これらの要因が重なり、情報にあふれた現代社会では、地域の集落に希望を持てない事が上げられます。
さらに、
4) 外部からの移住希望者に対しても閉鎖的な慣習を求められることが優先され、人口を増やすための対策や支援体制そのものが欠如している事が指摘されます。
5) 農業経営そのものが昔ながらの家族経営であるため、他の職種に比べ外部からの移住者には就農の負担が大きい。
問題点
上記の問題点に対して、集落を構成する住民自身が高齢化に伴い、公的な交通手段を欠くことから、生活に困る状況を招いています。
その結果、病院や役場への移動手段が限られるだけでなく、日用生活雑貨、食料品などを購入するための移動販売を求めていますが、住民自身が排他的な慣習を維持していることの認識不足のため、改善策に対する周囲の取り組み意識も低い結果につながっているが、両者は共存のための協議を欠いていることも指摘されています。
これらのことから、集落にいる若い世代の意見や考えが尊重されず、周辺地域から孤立していることさえ認識できていないとの指摘もあります。
関連?情報
驚きの地方創生「限界集落が超☆元気になった理由」 (扶桑社新書)
地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門 ・・・・余りに高く評価されています。
稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書) ・・・高評価です。