自律神経 (1)理解のための基礎
自律神経 (1)理解のための基礎
比較的理解しにくい自律神経について取り上げます。
自律神経が理解しにくい仕組にである原因は、
1)神経系における自律神経の分類や位置関係が解り難いこと。
2)その受容体や神経伝達物質も複雑に見えること。
3)加えて、自律神経の受容体が細かくいくつもに分類されていることにあります。
しかしながら、おおざっぱに全体を把握することで、細部まで覚えたり、理解できなくても、道に迷ったときにおおざっぱな方向性がわかるだけで、苦手意識を大きく減らせると思います。
このシリーズで、おおざっぱに自律神経を把握し、苦手意識を減らすことで、「自律神経は何が何だかわからない」と言う事だけは無くせるようにご紹介させて頂きたいと思います。
自律神経は中枢神経か末梢神経か?
神経系は中枢神経(脳や脊髄)及び末梢神経(中枢神経から出る神経)に分けられますが、自律神経はこの分類のどこに入るのか?と言うことの理解がはじめにわかっているかどうかがカギになると思っています。
なぜなら、中枢神経である脳と脊髄は、
運動や記憶、思考、感情などをつかさどる大脳、
運動や平衡感覚をつかさどる小脳、
体温の調節をつかさどる間脳、
呼吸や心臓の運動などをつかさどる延髄が調節しています。
そして末梢神経は、中枢神経からの神経の枝が伸び、感覚器官(目・鼻・皮膚など)から中枢神経に刺激を伝える感覚神経と、中枢神経からの命令を筋肉に伝える運動神経で構成されます。
すなわち、末梢神経から送られてくる情報を中枢神経が受け、その情報に応じて中枢神経から指令を発するコントロールシステムの役割をはたしています。
さて、自律神経は末梢神経に分類されます。・・・オートマチックに動作するのですから、中枢神経と言うことはありません。
中枢神経のバランスをとる脇役であり、裏方さんです。
そして末梢神経は、自分の意志で動かすことの出来る運動神経と、オートマチックに制御機能を持つ自律神経に分けられています。
この自律神経が末梢神経である事から、中枢神経の命令を意識的に調整する運動神経と、自動的に調整している自律神経に分けられています。
このときの自律神経は、自分の意思による調節ではなく、むしろ、昼に活動する時に脳が意識する運動神経が及ばないところを活動に応じて自動的に調整してくれていますので、身体のバランスを保つ上での裏方さんの役割を担っている控え目な(?)神経の仕組みと言えます。
一言で自律神経とは?
多くの内臓機能に関わる自律神経は、「食事と共に胃や腸が動いて食べ物を消化させています」。
この時、胃や腸は自らの意志ではなく、自動的に動いています。
唾液も自動的に分泌されます。
・・・・・このような食事による口腔内の知覚刺激が脳に伝わると、脳が末梢神経の一部である運動神経を働かせて自分の意志で食べ物を咀嚼(そしゃく)し、同時に自律神経をコントロールして唾液腺や消化管を自動的に働かせています。
・・・・・ポイント1:自律神経の元(中枢)は、脳の視床下部にある末梢神経で、運動神経の裏方さんの役割です。
(視床下部は交感神経・副交感神経機能及び内分泌機能を総合的に調節していることから、自律神経の中枢です)
この自律神経は、交感神経と副交感神経に分けられ、バランスをとりながら働いています。
そして自律神経がコントロールしている内臓や組織には、心臓、肺、胃腸、肝臓、膀胱、唾液腺、内分泌腺、汗腺、瞳孔、血管などにが含まれます。
これらの臓器では交感神経と副交感神経が身体の状態に応じて機能を自動調節することから、自動的なアクセルとブレーキの役目を交代して担っています。
・・・・例えば、心臓の心拍数は交感神経が活発になると増えます。
・・・・胃腸の働き(蠕動:ぜんどう)を活発にするのは副交感神経です。
ポイント2:このように自律神経(交感神経と副交感神経経)は、中枢神経である脳脊髄の働きに同調する運動神経に、協調しながら身体を構成する臓器の働きを調節しています。
・・・・但し例外もあり、汗腺や血管は、交感神経だけが支配し、体温の調節と血圧のコントロールを担っています。
さて、自律神経を一言で言い換えるのは簡単ではありませんが、次のように考えてはいかがでしょうか?
昼と夜における身体の活動を自動的に調節する神経で、
昼は交感神経、
夜は副交感神経が働いて内臓や血管などの働きを調整し、身体の調子をバランス良く整える神経です。