自律神経 (3)ストレスと自律神経
自律神経 (3)ストレスと自律神経
ストレスと自律神経
ストレスで夜、眠れないとか、食欲が出ないことを経験された方は少なくありません。
これらは心配事やストレスなどで自律神経の働きのバランスが損なわれた状態です。
交感神経が過度に働くとどうなるのか
下の図で「交感神経の作用」が過剰に亢進しますと、動悸(どうき)、息切れ、呼吸困難、頭痛、めまい、立ちくらみ、冷え性、肩こりを生じます。
・・・・これらの症状はなぜ現れるのでしょうか?
例えば、長時間の仕事や過度な緊張が継続すると交感神経が優位に作用を続けることで、血管が収縮し、血流が悪くなります。
血流が低下すれば、肩こりや冷えにつながります。
また、血流の低下は、身体の老廃物の排泄を停滞させ、副交感神経が優位となっても食事や休息中の消化管の働きが低下します。
その結果、消化吸収が低下し、胃もたれ、便秘、下痢を引き起こしやすくなります。
さらに、頭痛、不眠、うつ、免疫力低下なども生じやすくなります。
副交感神経の働きが正しくなくなるとどうなるのか
上の図で「副交感神経の作用」が損なわれた場合を考えてみますと、消化が滞り、胃もたれ、吐き気、食欲不振、便秘、下痢、腹痛、不眠
・・・・これらの症状についても、何となく理解できるのではないでしょうか。
夜や休息時に働きが優位となる副交感神経の機能が損なわれることで、副交感神経が通じている臓器の活動が低下します。
仕事に追われて休めないことで、副交感神経の働きが少なくなれば、自律神経のバランスが損なわれ、肉体の疲れが心身の疲れとなり、やがてストレスがたまります。
加えて、不規則な生活が継続するなら、さらに自律神経の働きは低下します。
自律神経失調症の原因
上に述べたような自律神経失調症の原因は、主に不規則な生活や過度のストレスを誘因として、一過性に出現する場合、何らかの身体疾患に伴う場合、あるいはうつ病や不安症の症状の一部として出現する場合などがあるとされています。
その具体的な内容は、人間関係や仕事のプレッシャーなどの精神的ストレス。
過労。光や音、温度などの身体的ストレスがあげられます。
また慢性的な寝不足など、不規則な生活や偏った食事などが生体リズムを狂わせてしまい、自律神経の乱れにつながることもしばしばです。
さらに、更年期障害では女性ホルモンの分泌が減少するため、自律神経の乱れにつながり、ほてりや頭痛、めまいなどの不調が現れることもあります。
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自律神経のバランスを保つにはどうすれば良いでしょうか?
ごく当たり前の事ですが、不規則な生活を避け、生活リズムを整え、適度な運動と休息、ゆっくりと食事を楽しみ、入浴で交感神経だけが支配する汗腺と血管の緊張を和らげましょう。
リラックスできる音楽やお気に入りの旅行先の写真を楽しんだり、好きなお酒を少し楽しむ。
あるいは静かな時間を過ごせるところに出かけることも良いでしょう。他にも緊張を解きほぐせる事であれば何でも構いません。
夜勤明けなどは、睡眠時間帯のずれから生活におけるホルモンバランスも崩しやすく、このような生活における身体状態で食事をしても自律神経がバランス良く機能しにくくなっています。
さらに疲れがたまれば、イライラし、その気持ちを抑えようとさらにストレスがたまります。
そのような状態では、仕事や家庭においても人間関係を損ない易い状態ですので、まずそのような自分の精神状態を認識し、疲れを取り除くように努めましょう。
そして生活習慣(食事・睡眠・労働)に問題がないかチェックを行い、思考パターン、認知パターン、行動パターンのチェックを行い、必要に応じてかかりつけ医にご相談下さい。
・・・中には、几帳面すぎるとか、頼まれたら断れないとか、プライドが高い、心配性、完璧主義などが背景にあることもまれではございません。
ストレスによる自律神経失調の例として、・・・ストレスによる胃腸の不具合
(1)副交感神経が有意に働いた場合、胃酸分泌が促進され、胃の粘膜を荒くします。その結果、胸焼けや胃痛を生じることがあります。
(2)また、交感神経が有意に働いた場合、胃酸分泌が抑制され、胃腸の働きは低下します。その結果、消化不良を生じやすくなります。
上記、(1)や(2)のような自律神経の乱れの中で、
(2)の場合は、皮脂腺の分泌を活発にし、角質の厚みを増します。毛穴も詰まりやすくなるのでニキビや吹き出物になることもあるでしょう。
但し、ストレスは交感神経の働きを強めますので、心筋の収縮力増強や心拍数の増加を起こして、動悸を感じたり、末梢血管の収縮によって血圧の上昇が起こります。
ストレスが長く続いたり、強いストレスがかかった場合や不規則な生活を続けていると、交感神経の興奮状態が治まらなくなってしまいます。
・・・このような状態が続けば、心臓は必要以上に働き続け、心臓にかかる負担も大きくなります。
心臓そのものには異常がないのに、どうき、息切れ、胸の圧迫感や痛み、あるいは不整脈などの症状が現われると、心臓神経症と言う病気につながる可能性もあります。
(1)の場合でも、生活のリズムが乱れていなければ、副交感神経が有意なら皮脂腺は活性化されず、皮脂分泌は抑制され、肌のキメは滑らかかも知れません。
しかしながら、胃酸分泌の原因が精神的な問題であった場合には、夜の睡眠障害を招いたり、夜に交感神経が皮脂腺を刺激し、朝起きたら、ニキビができていると言う事もあるかも知れません。
また、腸のぜんどう運動を支配しているのは副交感神経ですからストレスが溜まると腸の動きが鈍くなり便秘を引き起こします。
今回は、これまで学んだ自律神経の概要から、自律神経の乱れについて考えてみました。