介護保険料の差し押さえが意味する将来像 (4)平均的な年金受給額では施設介護は困難?
介護保険料の差し押さえが意味する将来像 (4)平均的な年金受給額では施設介護は困難?
厚生(老齢)年金及び国民年金の平均受給額は?
厚生労働省の年金局が平成30年12月に公表した「平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の資料28ページが示す参考資料2によれば、「年齢別老齢年金受給権者数及び平均年金月額 」は、以下の通りです。
上の表で、赤四角で囲んだ数値は、75歳の方の月額老齢(厚生)年金受給額が約15万2千円である事を示しています。
また、紫色の四角で囲んだ数値は、75歳の方の月額国民年金受給額が約5万5千円である事を示しています。
介護施設に入所して受ける施設介護を受けられるか?
あくまでも平均ですが、上記の月額から年額に換算しますと、厚生年金の年間受給総額は、182.4万円。 国民年金の年間受給総額は、66万円です。
果たして、この受給している平均的な年金の年総額で、特養や老健などの介護施設に支払う費用と自己負担額の合計月額(約15~20万円)で施設に入所して介護を受けられるのでしょうか?
もちろん、他にも退職金を含む預貯金や不動産などの資産も取り崩さなければ、もはや施設介護を受けることは難しいと考えざるを得ません。
すなわち、平均的な年金収入では、施設介護を受けることは困難な可能性が高いと考えられないでしょうか?
さて、2019年10月から消費税が10%に増額されますので、実質的な消費は年間の老齢年金総額が200万円とすると、180万円分の支出しか出来ません。
そして10月から幼児教育の無償化が始まります。
来年には東京オリンピックが控えており、オリンピック関連施設のボランティアが約8万人、東京の案内をする都市ボランティアが2万人(合計10万人)もの動員が進められていますが、滞在先までの交通費や宿泊費は無償とされています。
都内在住ならともかく、結局のところ、国民に負んぶに抱っこでスポーツによる平和という崇高な理念を訴えるも、本音は東京の再開発のためのお祭り騒ぎに担ぎ出された上、大会後の施設維持費も見通しが難しい場合、さらに年金が削られることにならないかと心配でならない。
つまり、オリンピックの後、借金はさらに増えた上、施設介護を受けられない高齢者世帯は、在宅で老老介護でしのいだ後、単身世帯となれば孤独死を覚悟しなければならない社会に変貌しないだろうか?
当然、介護施設に対する需要があっても、経済的に入所が困難となれば介護施設の経営破綻も次第に増える可能性まで考えられます。
東京2020が終わってから、「後(あと)の祭り」だったと言う事にならないだろうか?
なぜなら、今のオリンピック関連開発事業が「前の祭り」である可能性が高く見えて仕方がないからです。