WHOが初の「認知症予防ガイドライン」を発表2019年5月
WHOが初の「認知症予防ガイドライン」を発表2019年5月
2019年5月14日、世界保健機関(WHO)は認知症と認知機能を予防するための具体的な方法をまとめた初のガイドラインを公開しました。
このWHO認知症予防のガイドラインは、以下のリンクで閲覧できます。
タイトル:New WHO Guidelines recommend specific interventions for reducing the risk of cognitive decline and dementia
訳:「認知機能低下と認知症のリスクを減らすための新しいWHOのガイドライン」
但し、上のファイルは、100ページあまりと量が多くて、読みにくいため、簡潔に内容を紹介したサイトを検索したところ、下記のサイトが見つかりました。
糖尿病を治療して認知症を防ぐ WHOが初の「認知症予防ガイドライン」を発表
ここでは、上記サイトの要約から引用させて頂き、ポイントのみをご紹介させて頂きます。
WHOが公開している「認知症と認知機能低下のリスクを減らすためのWHOガイドライン」の主な内容は以下8項目について指摘しています。
なお、ガイドラインが指摘する具体的な対応については、調査研究で実証された確実性に基づいて、以下の2つに分類されています。
推奨グレード:強 ・・・・大部分の個人が取り組むことが求められます。
推奨グレード:条件付き ・・・・一人ひとりが選択して適切に行う場合、その人に必要かどうかなを管理しながら行うため、援助を受けながら行う必要があります。
下に示す具体的な認知症のリスクを減らす対応について、推奨グレード:強 を赤字で、条件付き を紫色で区別しました。
WHOの認知症を減らすための具体的な指摘8項目 ・・・食事と運動を改善すれば認知症リスクは減らせる!
1)運動・身体活動には認知機能低下を予防する効果がある (推奨グレード:強)
65歳以上のヒトは、週に合計150分以上の中強度の有酸素運動をするか、週に合計75分以上の強度の高い活発な運動をするべき。
有酸素運動は10分以上続けて行う必要がある。
2)栄養バランスの良い健康的な食事はすべての成人に勧められる (推奨グレード:条件付き)
野菜や果物、雑穀や玄米などの全粒穀類、マメ類、ナッツ類を十分に食べ、野菜と果物は1日に400g以上を食べることが推奨される。
1日に2,000kcalを摂取している人では、吸収の早い単純糖質の摂取を5%未満に、脂肪の摂取を30%未満に抑える。
・・・・単純糖質とは血糖値を早くあげる糖質で、砂糖、アメ、和菓子、甘い飲料水、菓子パン、アイス、チョコ、スナック菓子など、口に入れるとすぐに甘さを感じるものを指します。
脂肪の多い牛や豚などの動物性食品を抑え、食塩の摂取量を1日5g未満にするのが理想的。
・・・・上記の指摘は、いずれも適切に思えますが、様々な調査の結果として、必ずしも認知症の予防に有効とは言えない事を指摘しています。
3)肥満や過体重のある人では、介入して適正な体重にコントロールするで、認知症のリスクを低下できる可能性がある (推奨グレード:条件付き)
肥満の人には、栄養バランスの良い食事で、体重を減らすことが勧められる。
「グリセミック指数」(GI)は、ブドウ糖を摂取した後の血糖上昇率を100として、それを基準に、同量摂取したときの食品ごとの血糖上昇率をパーセントで表した指標。
GIの低い食品は体重コントロールに有用という報告がある。
ウォーキングなどの運動を毎日の生活に取り入れ、座ったままの時間を減らすことも勧められる。
・・・・肥満の方は、上記についても援助と管理の上で取り入れることが勧められます。
4)高血圧のある人は、WHOのガイドラインに従い適切な治療を受けるべき (推奨グレード:強)
高血圧を放置していることが認知症の原因になることが、研究で明らかになっている。
高血圧は、健康的な食事、適正体重の維持、運動を十分に行うなど、生活習慣を改善することで予防・改善が可能だ。
降圧薬による治療を受けることで血圧をコントロールできるので、治療を受けることが重要。
5)糖尿病のある人は、適切な治療を受け生活スタイルを改善するべき (推奨グレード:強)
詳しいメカニズムはまだ分かっていないが、糖尿病の人が血糖コントロールを適切に行わないでいると、認知症のリスクが上昇するという報告ある。
血糖コントロールの不良は、認知機能の低下と関連がある。
糖尿病腎症、網膜症、聴覚障害、心血管疾患といった合併症は、認知症のリスクを上昇させる。
血糖コントロールを改善し、高コレステロールと高血圧を治療すれば、認知症のリスクが低下する可能性がある。
6)喫煙は身体の健康を害するだけでなく、認知症と認知機能低下のリスクにもなる。タバコを吸う人は禁煙が勧められる (推奨グレード:強)
・・・・禁煙は、認知症予防に効果があります。
7)ビタミンB、E、多価不飽和脂肪酸、マルチビタミンのサプリメントは、認知症予防の観点からは推奨されない (推奨グレード:強)
・・・・「推奨されない」ことが「推奨グレード:強」とは、認知症に対して効果がないことを指しています。
8)過度のアルコール摂取を習慣としている人には、認知症予防の観点から、飲酒量を減らすか断酒が勧められる (推奨グレード:条件付き)
社会的な交流と支援は人生を通じて健康や幸福に強く関連している。生活において社会的な関わりは必要。
・・・・条件付きですので、必ずしも認知症リスクを減らすことにはつながらないと指摘しています。
取り入れる場合には、適切な援助と管理を受けた上で、ということでしょう。
まとめ
これと言った特別な項目は何一つ見当たりません。
生活習慣病の予防を適切に実行するだけのように思われます。
上記の項目を日々、積み重ねることで認知症予防の効果が実証されていると考えられます。
言うは易く行うは難し と言う事でしょう。
・・・・何をするにしても、口で言うのは簡単だが、それを実行するのは大変難しいということの教えです。
要するに、医者に頼らず、自ら身体を動かし、節制した生活を過ごすことでしょう。
・・・・ですが、これが難しい。