特定健診の新たな検査:non-HDL-C (1)non-HDL-Cとは
特定健診で新たな検査:non-HDL-C (1)non-HDL-Cとは
新しい検査項目としての non HDL-コレステロールとは?
2018年度から、特定健診の項目にnon HDL-コレステロール(non HDL-C)が加わりました。
この non HDL-コレステロールは、動脈硬化を促進するリポ蛋白を総合的に評価できるとされています。
この数値は、下に示した式で簡単に計算でき、食事の影響を受けにくいとされています。
non-HDL-C = 総コレステロール(TC)- HDL-C
non-HDL-Cの言葉から想像されるイメージは、
「HDL-コレステロール(高比重リポ蛋白質)以外のコレステロール」を意味しているように想像されます。
そして実際のところ、総コレステロールの中で、善玉コレステロールであるHDL-C以外のコレステロールとして評価されます。
すなわち、non-HDLコレステロールには、悪玉コレステロールであるLDL(低比重リポ蛋白質)と 極悪コレステロール?と言われそうなVLDL(超低比重リポ蛋白質)やリポ蛋白(a)などが含まれていると考えられることになります。
従って、non-HDL-Cとは、善玉コレステロール(HDL-C)以外のリポタンパクと考えましょう。
日本動脈硬化学会のnon-HDL-Cに関する説明は、次の通りです。
LDL-コレステロール(LDL-C)の管理目標値が達成された後、
2次的目標として( non-HDL-C = LDL-C管理目標値+30mg/dL未満) として定めた。
動脈硬化性疾患予防ガイドライン改訂 では、LDL-コレステロール と non HDL-コレステロール の両方の管理目標値を達成することで、動脈硬化性疾患発症のリスクが最も低くなるという結果から、この non-HDLコレステロール を新しい治療指標として定めました。 ・・・・とされています。
non HDL-コレステロールについて2017年版ガイドラインから解説
特定健診でスクリーニングされるメタボリック症候群の診断基準には、LDL-Cを含まないことから、重要ではない検査項目と認識される医療関係者や患者さんがいる事が指摘されたそうです。
しかしながら、メタボリック症候群の治療や予防には、脂質異常症と同様に、LDL-C値を含めた検査結果による生活習慣の改善が必要と考えられています。
2012年版ガイドラインにおける脂質異常症の診断基準では、
LDL-C値をFriedewald式(TC-HDL-C-中性脂肪[TG]値/5)で計算する規定がありましたが、
中性脂肪(TG)値が400mg/dL以上の場合は計算できず、特定健診が未受診扱いになる問題があったそうです。
そこで2017年の改訂で、正確性が向上したLDL-C直接測定法の値、もしくはnon-HDL-Cの値を用いた評価判定が可能となりました。
この改訂で、これまでの問題点は改善されましたが、国際基準は総コレステロール(TC)値に基づいて、Friedewald式で計算したLDL-C値による治療が主流であり、国際的な情報発信にLDL-C直接測定法とnon-HDL-Cによる値は使えないという課題が残されている。・・・と述べています。
そこで、次回から、non-HDL-Cを動脈硬化を評価する上で、指標とすることの有用性に関する報告を詳しく解説させていただきます。
少し面倒くさい報告です。
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