清涼飲料水(ソフトドリンク)と糖尿病発症との関連
上記のリンク先である国立がんセンターは、リンク先が示す通り、「ソフトドリンクの摂取と糖尿病の関係」についての報告結果を公表しました。
ここでは、上記報告の全文をネットで入手できませんでしたので、リンク先の内容をさらに要約してご紹介させて頂きます。
方法 清涼飲料水の摂取頻度の調査
清涼飲料水を次の3種類に分けて、飲用頻度と5年後、10年後の生活習慣についてアンケート調査した。
「コーラや果汁飲料(果汁100%未満)」、
「100%果汁ジュース」、
「野菜ジュース」
清涼飲料水の飲用頻度は、次の4つに分けて、5年間の糖尿病発症、10年間の糖尿病発症に分けて分析しました。
「ほとんど飲まない」、
「週に2回以下」、
「週に3-4回」、
「ほぼ毎日」
糖尿病に関する質問により糖尿病の発症を確認し、清涼飲料水と糖尿病発症との関係を分析しました。
この調査結果は国際専門誌(Clinical Nutrition 2013年 32巻 300-8ページ)に発表されています。
結果1 女性では「コーラや果汁飲料(果汁100%未満)」の飲用量が多いほど糖尿病の発症リスクが高い
10年間の追跡調査を行った結果、5年間追跡できた30,861人の中で598人(男性366人、女性232人)と、
10年間追跡できた27,585人の中で824人(男性484人、女性340人)が、糖尿病になったことを確認しました。
下の図1は、男性を対象とした調査結果で、清涼飲料水(コーラや果汁飲料、果汁ジュース、野菜ジュース)の摂取頻度と10年後の糖尿病の発症の結果を示しています。
そして図2は、女性を対象とした調査結果です。
上のグラフから、次のことが解ります。
1) 調査の結果、上の図2が示すとおり、女性の10年後の糖尿病発症頻度は、「コーラや果汁飲料(果汁100%未満)」の清涼飲料水の飲用量が多いほど、糖尿病の発症リスクが高いことを確認しました(図2)。
結果2 女性の学歴、職業、BMI及び閉経前に清涼飲料水を飲用した場合の糖尿病発症について
下のグラフは、高卒以上の女性、職業(ブルーカラーとは肉体労働職を意味します)、BMI25以上、及び閉経前の状態と糖尿病の関係を調査した結果を示しています。
上のグラフから次のことが解ります。
1) 女性でBMIが 25㎞/m2 以上の閉経前の女性で、清涼飲料水の飲用量が多いほど糖尿病発症リスクが高いことがわかりました。
2) 他方、BMIが25未満の女性、閉経後の女性、及び男性については明らかな関連はみられませんでした。
考察1 清涼飲料水が糖尿病の発症させる理由
清涼飲料水は食事に追加して余剰のエネルギーを摂取することになり、糖尿病の危険因子である肥満につながる可能性が考えられます。
また、多量の清涼飲料水の摂取は、急激な血糖・インスリン濃度の上昇を招き、耐糖能異常、インスリン抵抗性にもつながります。
清涼飲料水の甘味のために使用されているフルクトースの摂取は、インスリン抵抗性との関連が強い内臓脂肪量増加量との関連が報告されており、血中尿酸値を上昇させ、肥満や糖尿病を進展させる可能性が考えられます。
考察2 男性で清涼飲料水と糖尿病の関係がみられなかった理由
欧米人の男性では、清涼飲料水の飲用量が多いほど糖尿病発症リスクが高いことが報告されています。
しかし、今回の調査では、日本人男性において清涼飲料水と糖尿病の関係はみられませんでした。
考えられる理由として、欧米人に比べ清涼飲料水の飲料量が少ないこと、また同じ日本人でも、男性は女性に比べ体格が大きいことから、清涼飲料水1杯分の影響が女性よりも小さく、関係が出にくかったのではと推察されます。
これらの結果から、欧米に比べ、清涼飲料水の飲用量が少ない日本人女性においても、清涼飲料水の飲用量が多いと糖尿病発症リスクが高いことがわかりました。
清涼飲料水は、食生活が欧米化・多様化したわが国をはじめとするアジア圏内において、その消費量が増加傾向にありますので、今後注意が必要な食習慣の一つです。