大豆食品は高尿酸血症に良いか? (4)大豆食品による尿素に及ぼす影響
大豆食品は高尿酸血症に良いか? (4)大豆食品による尿素に及ぼす影響
「(1)尿酸値に及ぼす影響」では、以下の報告の背景と方法についてご紹介しました。
「(2)大豆食品による血清尿酸値の変化」では、大豆食品による血清尿酸値に及ぼす影響をご説明しました。
「(3)尿素サイクルについて」では、尿素サイクルについての概要を確認して頂きましたので、
今回は、大豆食品摂取後の血清尿素の変化について早速ご説明させて頂きます。
公表雑誌:Asia Pac J Clin Nutr 2018;27(6):1239-1242
研究者:Min Zhang MS1 , Ling Lin BS2 , Huaqing Liu MS2
公表雑誌:Ann Rheum Dis. 2010 Sep;69(9):1677-82. doi: 10.1136/ard.2009.124230. Epub 2010 May 14.

<表2から解ること> ・・・以下のことが解ります。上の青色のアンダーラインは、尿素の上昇を示しています。
1)一行目に示されている通り、水を摂取したグループの血清尿素濃度は、1~3時間後まで急速に減少しました。
2) 2行目の大豆から最下行までの豆乳、きな粉摂取群では、摂取1~3時間後に尿素の上昇が確認されました。
3) また、きな粉や豆腐ケーキ、乾燥豆腐スティックでも、摂取2時間後、ないしは3時間後に尿素の増加が見られました。
以上から、大豆食品の摂取により血中尿素は、いずれも増加していることが確認されました。
<表3の結果について> ・・・解説を略します。
以上の報告の内容に続く表3は、「血中尿酸濃度を上げる大豆食品摂取時の尿素の変化を調べています」。
表3の結果は、尿酸を上げる大豆食品を摂取した群は、尿酸が上がらない大豆食品摂取群よりも尿素の低下が認められた事が示されています。
この結果を示した意義については、ほとんど触れられていませんが、次のように考えられると思います。
・・・尿素あるいは尿素窒素と尿酸が関連する代謝系は不明ですが、尿酸を上げる種類の大豆食品はタンパク質量は少なくないことから、(腎不全や糖尿病の悪化で)腎機能が低下した場合には、蛋白摂取量の制限を受けることから、大豆食品についても注意が必要であることが示唆されます。
まとめ
大豆加工食品は、優れた植物性タンパク質であることから、生活習慣病の予防の観点からも推奨されている食品とされています。
しかしながら、大豆加工食品によっては、一時的であっても尿酸値を上げる大豆加工食品もあることに注意する必要があることが示されました。
同時に高尿酸血症や腎不全の患者さんの治療に当たる臨床医は、これらの結果を参考にして頂ければ幸いです。