病院再編2019 まとめ
病院再編2019 まとめ
厚生労働省は、基準病床数を超える地域(病床過剰地域)の病床を減らす方針を示し、具体的に各都道府県における病院名まで公表しました。
基準病床数をどのように決めているかについては、以下の(1)でご説明させて頂きました。
次に病床数はについては、(2)でご紹介させて頂きました
そしてこの病床数や医師数は、諸外国と比べてどうなのかについてを(3)でご紹介させて頂きました。
さて、上記のデータについて、皆さんはどのように思われたでしょうか?
日本では、諸外国に比べ、人口千人当たりの医師数は、およそ30%程度少なく、
そして人口千人当たりの病床数は、2~3倍もありそうです。
加えて、医療保険制度を持つ国は、日本の他、限られた国にしかありません。
少なくとも、諸外国と比較して、日本の医療環境は相対的に恵まれていると考えられます。
加えて、少ない医師で現在の医療を提供していると言うことは、医師の負担は他国に比べても明らかに大きいと考えられるのではないでしょうか。
そしてこの状況を恵まれていると考えるか、保険料を払っているのだから当たり前と考えるかは、あなた次第です。
その上で、繰り返しになりますが、やはり定められた時間外労働を遙かに超える医師の労働負担は明らかに大きいと言えるのではないでしょうか。
さて、結局のところ以下の課題はどう解決していくのでしょうか?
1) 医師の長時間労働解消
2) 看護師不足の問題
3) 地域医療の衰退
4) かかりつけ医の質の向上
これらを改善しつつ、医療費の削減につなげられる計画を策定することが求められています。
しかしながら、病床数の削減だけに留まるなら、本音は医療費の削減だけだったということでしょう。
追記 ・・・厚生労働省が2019年9月26日に、再編を促す病院名を公表した事に対して、各紙が意見を述べています。
熊本日日新聞 9月26日、病院再編・統合 地域の実情踏まえ議論を
信濃毎日新聞 10月5日、県内は15病院対象 厚労省が「再編・統合」議論必要な病院公表
福島民友新聞 9月27日、福島県内8公的病院「再編必要」 全国424、厚労省が異例の公表
西日本新聞 9月28日、病院の再編・統合、筑豊5施設 困惑の声 厚労省が検討対象公表
岐阜新聞 10月5日、県内9病院困惑 厚労省「再編必要」、住民憤り
上毛新聞 9月27日、県内4病院に再編・統合促す 厚生労働省公表 来月にも検討要請
秋田魁新報 9月27日、「事情分かっていない」 厚労省、県内5病院「再編必要」
室蘭民報 9月28日、厚労省が再編促す病院名公表、既定路線に変更なし
以上から、厚生労働省は、財政的な観点でのみ中央集権的視点での見方を示したに過ぎません。
何ら、条例や法的な縛りもなさそうです。
と言うことは、今後は各都道府県知事がそれぞれの事情に応じて対応する事が求められそうです。
なぜなら、地方自治を守ると言うことは、仮に赤字の病院であっても必要な財源を自ら確保し、自律した行政を行ってこそ地方自治と言えるからです。
他方、厚生労働大臣の発言は、地方の実情をどのように考えた発言であったのかについては解りません。
しかし、10月5日の東京新聞は、全国知事会など地方三団体と政府との協議が東京都内で行われ、地方自治体側が「住民は不安に思っている。リストを返上してほしい」と訴えたことを報道した。
要は、各都道府県が地方自治体として判断すべき事であり、そのためにも各都道府県は財政面でも自立していなければ地方自治とは言えないのではないでしょうか。