病院再編2019 (10)高齢者を支えるには
病院再編2019 (10)高齢者を支えるには
前回の「(9)介護事業者が減るとどうなるか?」では、介護事業者の減少について考えた上で、「一人暮らしの高齢者の問題」に触れました。
今回は、「一人暮らしの高齢者を地域で支えていくにはどんな取り組みがなされているか?」について、検索した一例をご紹介させて頂きます。
高齢者の一人暮らしを支えるには
住民同士がお互いに助け合える地域づくりを行うために、2012(平成24)年の介護保険法の改正から、「見守り」などの生活支援実施が国や地方公共団体の責務として規定されました。
そこで各地域における様々なNPOやボランティアなどのグループが活動を行いやすくするための体制や環境作りが「地域包括ケアシステム」として中心的な役割が期待されています。
しかしながら、これらの中核となる市町村の「地域包括ケアシステム」は、十分に機能しているのでしょうか?
地域包括ケアシステムとは?
地域包括ケアシステムは、少子高齢化に対応するために国が進める高齢者政策の柱です。
地域包括ケアシステムの概要
環境の変化がストレスになる高齢者の多くは、可能な限り住み慣れた地域や自宅で日常生活を送ることを望んでいます。
また、地域内で介護が必要な高齢者を効率良くサポートするためには、家族が地域の医療機関、介護事業者(デイサービス、訪問介護、訪問看護、介護施設など)と連携し、高齢者の要介護状態に応じて地域で高齢者の生活をサポートしていく仕組みです。
そのため地域における「住まい」「医療」「介護」「介護予防や認知症予防」「生活支援」のサービスについて、総合的に相談し、必要な最-ビス事業者を紹介できる支援の仕組みが、地域包括ケアシステムです。
つまり、地域包括ケアシステムとは地域の実情や特性に合った体制を整えていくものです。
高齢者の住居が自宅であるか施設であるかを問わず、健康に関わる安心・安全なサービスを24時間毎日利用できることを目的としています。
2019年現在、地域包括支援センターから地域包括ケアシステムへの移行期にございます。
この地域包括支援センターは、65歳以上(介護保険の一号被保険者)の人口3,000~8,000人当たり、一施設設置する事が厚生労働省により定められています。
さて、四日市市の65歳以上の人口は、約8~9万人近くいますので、地域包括支援センターは、85,000人/6,000 と計算しても14カ所程度設置すべきです。
ところが、現実には3カ所しかございません。
すなわち、四日市市では高齢者を地域で支えていくときに中心となる「地域包括ケアシステム」の構築が十分には出来ていないと考えられます。
今、何をすべきか?
地域で支え合う介護に関するネットワークで地域社会を形成していくことが内閣府でも取り上げられている NPO法人「新田の風」をモデルとして示しています。
このNPO法人「新田の風」は、高齢者を介護する「介護者のいないひとり暮らしや終末期」であっても住み慣れたこの新田地区で暮らし続けられるような仕組み、すなわち「安心して老いを迎えられるまちづくり」をすすめています。
子や孫の世代もこの新田地区に住み続けたいと思えるよう「みんなが住みたいまちづくり」へと発展させ、近隣市町村および全国に普及できることを目指しているとのことです。
しかしながらその取り組みは、事業報告書を見ても、今スタートしたばかりであり、介護や日常生活に関わる地域の方々の教育トレーニングから始めなければならず、一朝一夕にはいきません。
ですので決してどの地域でも容易に取り組めそうには見えません。
それでも、他に「地域の一人暮らしの高齢者を支え、見守り、看取る」方法はなさそうです。
私見
この「新田の風」を当面のモデルあるいは目標として各地域における取り組みが期待されるところですが、その中核となり、高齢者や高齢者を抱える家族の相談窓口となる「地域包括支援センター」の充実と機能の底上げが望まれるように思われます。
参考情報