高齢者白書 (4)年を取って生活したいと思う場所
高齢者白書 (4)年を取って生活したいと思う場所
厚生労働省の「平成28年版厚生労働白書 本編図表バックデータ」から引用した下のグラフは、「年を取って生活したいと思う場所」についての調査結果まとめた資料です。
上のグラフから、高齢者に限らず、圧倒的に多くの方が自宅での生活を希望しています。
その一方で、「(1)地域で安心して住み続けるために必要なこと」で示した通り、多くの方は近所との付き合いがそれほど親しいおつきあいではありません。
すなわち、「多くの高齢者が、年を取ってから自宅に住み続けたい」と考えているものの、近所との付き合いはほどほどにと言う考えではないでしょうか。
要するに、自宅で自由に過ごしたいけれども、他人との関わりが煩わしいと考えているように思われますが、いかがでしょうか。
上のグラフから、「高齢期に希望する場所で暮らすために必要なこと」の一番目に「医療機関が身近にあること」、
次いで「介護保険サービスが利用できること」、
「買い物をする店が近くにあること」
「交通の便が良いこと」が上げられています。
何もかもそろった地域は、やはり困ったときには、何かと便利な地域を望んでいると考えられます。
当然、ある程度便利な地域であれば、それなりに人口は集まりますので、相応の近隣との関係も求められる可能性もあると考えておく必要がございます。
しかしながら、上のグラフで右から5番目の棒グラフは「近所での助け合いや協力があること」をあげていますが、そのためにはそれなりの人間関係が必要となるでしょう。
普段の挨拶程度の関係では、急病や困ったとき、あるいは一人暮らしになって、日常生活にも困難を感じたときに果たして、助け合える関係になるでしょうか。
そして何よりも、元気な内は自らが積極的に高齢者の生活をサポートしていたのかどうかをお考え下さい。
自分は何ら近隣の高齢者をサポートもせず、
近所とは挨拶程度の関係で、
いざ自分が困ったときには、どこまで周囲の方にお世話になりたいと考えているのでしょうか?
ギブ・アンド・テイクとまでは言いませんが、それなりに周囲との関係をしっかりと築くこともなければ、
急病や要支援、要介護状態となってからお世話になることだけを考えているとすると、そんなに都合良く周囲がサポートに協力頂けるとは思えません。
次回は、一人暮らしに関する認識についての調査結果について考えてみましょう。