高齢者白書 (11)終末期医療について2
高齢者白書 (11)終末期医療について2
前回の「(10)終末期医療について1」では、生前の意思(リビングウイル)を書面にしておくことが、「人生の最終段階を希望するような医療を受けるために必要なこと」であり、そのためにもご自身の意思を書面に残し、家族や医療機関に提示する事が大切であるとご紹介させて頂きました。
今回は、この「生前の意思(リビングウイル」をもう一歩進めた「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)、事前医療計画」についてご紹介させて頂きます。
生前の意思(リビングウイル)よりも、一歩進めたアドバンス・ケア・プランニング(ACP)
厚労省が2018年3月に示した「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂は、リビングウィル(生前の意志)の確認に過ぎませんでした。
他方、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)、事前医療計画」は、生前の意思確認をさらに一歩推し進め、家族や友人、医療関係者らと繰り返し話し合い、その都度、文章にしておくことが望ましい、とするものです。
この繰り返し行われる話し合いは、欧米ではすでに普及している考え方として紹介されています。
「生前の意思(リビングウィル)」では、病気の進行や本人の心身の状態変化などに伴って、その意思が変化していく可能性が少なくありません。
そのため心身の状況変化に応じて、「繰り返し話し合う」ことを強調しているのは、「生前の意思の変化」に対応するためです。
そして「アドバンス・ケア・プランニング」は、自らが望む人生の最終段階における医療・ケアについて、前もって考え、医療・ケアチーム等と繰り返し話し合い、患者さんの意志を共有する取組を意味します。
上のリンク先で紹介されている内容は次の通りです。
「アドバンス・ケア・プランニング」についての簡単なパンフレット。
・・・・もしもの時のための「人生会議」。 ・・・なんともネーミングがお粗末ですね。
具体的なACPの事例
上記リンク先の資料を見ても、具体的なACPの導入時期や流れについては、解りにくいと思います。
そこで「日本老年医学会」が示している「アドバンス・ケア・プランニング(事前医療計画)」を行った事例集をお示ししますので、参考にしていただければ幸いです。
また、札幌市医師会のACPについての「Q&A」も参考になると思います。
上記の内容を紹介させていただきましたが、実際にはまだ多くの医療機関もACPに基づく患者さん及び患者さん家族への対応については、協議が始まったばかりです。
その一方で、高齢者のいるご家庭や、高齢者が単身で暮らしておられる場合にも、まずは親族や信頼できる方と少しずつ、終末期医療における希望について話し合うことが、ご本人の希望に沿う終末期医療につながるのではないでしょうか。
そして最後に一言だけ付け加えさせて頂くなら、自分の希望はご自身で示す以外ありません。
もし何も準備しないまま最期を迎えるなら、人生の締めくくりも他人任せと言う選択をすることになります。
参考情報
「人生会議」って知っていますか?~最期まで住み慣れた「島でねばる」ために、江田島市版“人生会議ノート”を活用しよう~のリンク先にある
人生会議ノート(ACP編)
人生会議ノート(エンディングノート編) は参考になると思います。