サルコペニア (4)フレイル
サルコペニア (4)フレイル
フレイルとは
フレイルは、海外の老年医学の分野で使用されている英語の「Frailty(フレイルティ)」が語源とのことで、その意味は、「虚弱」や「老衰」、「脆弱」などです。
日本老年医学会は、高齢者において起こりやすい「Frailty(フレイルティ)」に対し、正しく介入すれば戻るという意味があることを強調し、提唱しました。
フレイルは、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を意味します。
多くの方は、フレイルを経て要介護状態へ進むと考えられていますが、高齢者においては特にフレイルが発症しやすいことがわかっています。
フレイルに早く気付き、正しく介入(治療や予防)することが大切です。・・・・フレイルの意義
なお、2020年に2月1日を「フレイルの日と」と定めたようです。
フレイル・サルコペニア
フレイルは「虚弱」を意味する英語「フレイルティ」を元にした造語です。
日本老年医学会は、2014年に「健康」と「要介護」の間の状態をフレイルと名付けました。
フレイルには、体重減少や筋力低下などの身体的な変化だけでなく、気力の低下などの精神的な変化、引きこもりなど社会的な変化も含まれるそうです。
75歳以上の人の多くはフレイルの段階を経て要介護状態になりますが、フレイルの段階で早めに対処すれば健康な状態に戻る可能性があると考えられています。
サルコペニアが起こると、フレイルに進む可能性が非常に高くなります。
・・・高齢になったら、外で遊ぶくらいが丁度良いのかも知れません。
「立っている者は親でも使え」と言うことわざがありますが、・・・・。
フレイルの基準
フレイルの基準には以下の5項目あり、3項目以上該当するとフレイル、
1または2項目だけの場合にはフレイルの前段階であるプレ・フレイルと判断します。
-
-
-
- 体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
- 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
- 歩行速度の低下
- 握力の低下
- 身体活動量の低下
-
-
高齢者に発生しやすいフレイル(脆弱)は、適切に予防すれば日常生活にサポートが必要な要介護状態に進まずに済む可能性があります。
そのため、フレイルの予防、あるいは介護予防対策を日常的に取り入れる工夫が必要とされています。
フレイルが進んだサルコペニアを「フレイル・サルコペニア」と言い、筋肉量が減少し、歩行速度が低下しているような状態を指します。
フレイルの状態の中でも、筋肉に注目した概念です。
サルコペニアには、加齢によるサルコペニアと病気に伴って起きるサルコペニアがあります。
サルコペニア
加齢や病気で筋肉量が低下しサルコペニアを起こすと身体の機能が低下します。
具体的には足の筋肉量低下により歩行速度が落ちたり、疲れやすくなるため全体の活動量が減少します。
全体の活動量が減少すると、エネルギー消費量が減り、必要とするエネルギー量も減少します。
・・・・わかりやすくいうと、動かないとお腹が空かないので食欲もなくなります。
フレイル・サルコペニア
加齢による食事量の低下に加えて、食欲低下もあると慢性的に栄養不足の状態になります。
慢性的な低栄養の状態は、サルコペニアをさらに進行させ、筋力低下が進むという悪循環へ陥ります。
この悪循環を適切な介入によって断ち切らないと、フレイルの状態が繰り返され、要介護状態になる可能性が高くなります。
では、フレイル・サイクルを断ち切る、またはフレイル・サイクルのスピードを遅くするための介入方法はどのようなものがあるか次にご紹介します。
フレイルへの介入方法
フレイルの介入方法には、持病のコントロール、運動療法、栄養療法、感染症の予防などが挙げられます。
1.持病のコントロール
糖尿病や高血圧、腎臓病、心臓病、呼吸器疾患、整形外科的疾患などの慢性疾患がある場合には、まず持病のコントロールをすることが必要です。
持病のコントロールがされていないと高齢の方は身体を動かすという気持ちになれないこともあります。
また、持病の治療がうまくいっていないとフレイルを悪化させてしまう可能性もあります。
2.運動療法と栄養療法
高齢者に対し適切な運動療法を行うと、サルコペニア、筋力低下に対しては、高齢者であっても運動療法によって筋力が維持されます。
運動療法は個人に合ったものから始めることが大切です。
また低栄養状態で運動を行っても筋肉がつかないどころか、低栄養状態を助長してしまう可能性もあります。
筋肉をつけるために必要な良質なタンパク質を摂れるような食事指導も必要です。
3.感染症の予防
高齢者の場合、免疫力が低下していることが多いためインフルエンザや肺炎にかかりやすいといわれています。
インフルエンザや肺炎をきっかけに、重症化して入院、そして寝たきりになってしまうこともあります。
日頃から適度な運動やバランスのよい食事などにより、感染症に強い身体作りをするだけでなく、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種しておくこともフレイルを予防する1つの方法といえます。