自律神経 (4)全身の活動の視点から
自律神経 (4)全身の活動の視点から
全身の活動を昼と夜の視点から考えて
自律神経の概要を把握するため、今回は「全身の活動を昼と夜に分けて」考えてみましょう。
昼に活動するときは、身体の脳と抹消とである手足を随意に(意識的に)働かせて昼の活動を行う際、身体の中心部である内蔵組織を意識していません。
・・・このように、意識していない時にこそ、自動的に内蔵の働きを休ませて調節してくれているのが自律神経の中の交感神経です。
逆に、休息時や夜間は、身体の脳と抹消である手足の働きを意識的に休ませています。
・・・・従いまして、身体を意識的に休ませている時には、昼間休んでいた内臓の働きを活発にする副交感神経が優位に活動し、昼間休んでいた内臓の働きを活性化して、体全体の調節を自動的に行っています。
この時、昼間の活動を自動的に調整する交感神経からノルアドレナリンが、
夜間の休息時には、身体を休ませるために、昼間活動しなかった内蔵を副交感神経からアセチルコリンが神経伝達物質として優位に分泌されています。
その構造は以下の通りです。
交感神経の神経伝達物質であるノルアドレナリンは、胸腰髄から昼間の活動に応じて交感神経から分泌され、瞳孔が開き、心拍数を増加させ、末梢血管を収縮させ血圧を上げます。
心拍が増えることから気管支も拡張させますが、消化管の運動は低下し、肝臓からグリコーゲンを分解してエネルギーを放出させて、骨格筋の素早い運動を容易に増加させます。
副交感神経の神経伝達物質であるアセチルコリンは、頸神経と仙骨神経から夜の休息時に脳や四肢の活動が低下することで副交感神経から分泌され、瞳孔が閉じ、心拍が減り、(脳が沈静化し)脳血管が拡張(弛緩)し、気管支も収縮し、血圧が低下します。
消化管の運動が活性化し、膀胱は収縮します。
このアセチルコリンの相対的減少はアルツハイマー病と関連し、増加はパーキンソン病との関連が指摘されています。
自律神経の神経伝達物質
さて、ここで自律神経の神経伝達物質について整理しておきましょう。
交感神経は、昼間優位に身体の臓器を活動に合わせてまとめて(交感神経幹を経て)調整し、
副交感神経は、夜間に身体の休息に合わせて個別に(それぞれの)臓器を調整していました。
交感神経は、上の図で胸腰髄からでた交感神経の終末でノルアドレナリンが(αあるいはβ)アドレナリン受容体を持つ臓器に伝えられます。
他方、副交感神経は、脳幹と仙髄からでた副交感神経の終末で、アセチルコリンがムスカリン受容体またはニコチン受容体を持つ臓器に伝えられます。
ところが、交感神経も副交感神経も、神経の中継点では神経伝達物質としてアセチルコリンを中継役に使って、ニコチン受容体に伝えています。
・・・どうしてこうなっているの?と言われましても、これが事実なのですから説明の仕様がございません。
実は、この基礎的な部分だけは、覚えなければなりませんが、覚えること自体が簡単そうで、中々簡単ではありませんね。
・・・そこで、どうやって覚えるかについて、知りたい方、頭に焼き付けたい方には直接お伝えさせて頂きます。 ・・・・言葉だけでは伝えにくいからです。