ワクチンの臨床試験で発症予防効果はわかるか? (1)BCGワクチンの歴史
ワクチンの臨床試験で発症予防効果はわかるか? (1)BCGワクチンの歴史
始めに、最もよく知られているBCGワクチンの歴史について触れます。
そして次に、ワクチンの臨床試験について紹介させて頂きます。
さて、このシリーズの焦点は、「臨床試験を終えたワクチンは、発症予防効果が解っているか?」です。
ご一緒に考えて見ましょう。
BCGを作った男たち アルベール・カルメットとカミーユ・ゲラン ・・・リンクしてます。
結核の予防ワクチンとして知られるBCG(Bacillus Calmette-Guerin)は、その名の通り、Bacillus(細菌)とこれを作った2人の名前(CalmetteカルメットとGuerinゲラン)をとって名づけられています。
このBCGワクチンは乳幼児を中心として結核予防のために世界各国で使われています。
その開発研究の経緯は、上のリンク先を参照して下さい。
重要な点は、ワクチンを接種した子供259人のうち73人が結核で死亡した事故が起こってしまった事です。
この事件(事故)は、ドイツの細菌学者らによって調査され、ワクチンとして使われた菌の中に、病原性を持つ結核菌が存在していたことが証明されました。
その後ワクチンは純化され、1932年に安全性が認められました。
・・・・わずか90年前の事実です。
現在、最も広く普及しているBCGワクチンの開発に携わったカルメットは、上の事件で晩年苦しんだと伝えられています。
ヒトの成功や失敗は、簡単にその瞬間で終わる勝敗だけではありません。
人類の結核に対する予防ワクチンは、これほど苦難を経てたどり着いた経緯を考えるなら、失敗がさらなる飛躍に結びつけられるように向き合うことの大切さを示していると考えられないでしょうか。
上記リンク先によれば、現在もなお世界では、 1/3 の20億人が結核菌に感染し、その中から毎年880万人の結核患者が発症し, 200万人が毎年結核で死亡していると報告されています。
さらに、現在もなお、新しい抗結核ワクチンの開発が継続しています。
<私見>
日本では予防できて当たり前のように思われている「結核」と言う一つの病気の予防に、これほど困難な道を経なければならないとしても、90年も前の科学技術でBCGの開発に取り組んだこと自体が如何に果敢な挑戦を果たしてきたかを思わされます。
関連情報 ・・・結核とBCGワクチンに関するQ&A