出生前診断2020
出生前診断2020
2013年10月に「出生前診断 まとめ」を掲載しましたが、その後の出生前診断の実態を調べてみました。
2020年10月時点で調べた範囲では、出生前診断は、非侵襲的出生前遺伝学的検査(noninvasive prenatal genetic testing、NIPT)とされていますので、以下では出生前診断をNIPTとして表記させて頂きます。
このNIPTを厚生労働省のサイトで検索しますと、「NIPT: noninvasive prenatal testing 無侵襲的出生前遺伝学的検査」令和元年10月21日が見つかりましたので、この資料から出生前診断の実態をご紹介させて頂きます。
出生前診断の検査数と陽性率
NIPTの適応別での検査陽性率 2013年4月 – 2019年 3月(6年間)が19ページに以下の通り示されています。
<出生前診断の検査件数と陽性率> ・・・・下の表からわかること。
1)2013年4月~2019年3月の間の検査件数の合計が、72,526件、その内陽性率は1.79%である事がわかります。
2)高齢妊婦とは、「35歳以上の初産」を指しており、被験者 68,361人の内、1.52%が陽性であった。
3)21T、18T、13Tは、それぞれ染色体の番号を意味し、Tはトリソミー(染色体が3本ある事)を意味しますので、
21Tはダウン症候群、18Tはエドワーズ症候群、13Tはパトー症候群と関連することから、ダウン症の陽性数が高かったことがわかります。
出生前診断検査で陽性者の転帰 ・・・転帰とは、その後の経過や結果を指します。下の表からわかること。
1)それぞれの染色体異常(21T、18T、13T)の結果が出た被験者妊婦は、下の表の通り、妊娠を継続した人数が「妊娠継続数」として示されています。 ・・・・1299例の検査陽性者の内、妊娠の継続数は、108例です。
2)また、IUFDは、子宮内胎児死亡数を現しています。 ・・・205例でした。
3)次に、妊娠中断と妊娠中断率が、それぞれの染色体異常別に示されており、全体で1299例の陽性者の内、899例(78%)が妊娠を中断していたことが示されています。
これらの染色体異常があっても、ダウン症の平均寿命は60歳に達していますが、エドワーズ症候群とパトー症候群では1歳未満であることが示されています。
そしていずれの遺伝子異常にも治療法がなく、生命倫理の観点から出生前診断そのものに対して批判的な意見も少なくありません。
しかしながら、仮に批判的な意見であっても妊婦及びその夫婦の考えに倫理を強要するすることの方が乱暴ではないでしょうか。
そして、これ以外にも無認可の施設も多数あります。
加えて、妊娠中絶の例は、年間で17万~20万件あります。
そして、こちらの「表7人工妊娠中絶件数及び実施率の年次推移」を見ると、20〜24歳の中絶件数が最も多いことが示されています。
・・・・NIPT 及び年間の中絶 それぞれ妊娠の継続が困難な事情までは、明らかにされていません。