新型コロナで汚染された個人用保護具に対するオゾン処理の効果 (4)オゾン2000ppm及び4万ppm暴露の効果
新型コロナで汚染された個人用保護具に対するオゾン処理の効果 (4)オゾン2000ppm及び4万ppm暴露の効果
「(1)ウイルス汚染された防護服の除菌効果」では新型コロナウイルスで汚染させた個人防護服をオゾン処理することで、オゾンの除菌効果を調べる実験方法の全体像についてご紹介致しました。
「(2)汚染させた防護服をオゾン暴露する」では、具体的なオゾン暴露条件とRT-PCRについてご説明しました。
「(3)高濃度オゾンの効果」では、500~4000ppmのオゾン暴露により、汚染させた個人防護服に付着した新型コロナウイルスの遺伝情報の損傷状態についてご説明させて頂きました。
今回は、ようやく実験結果をご紹介させて頂きます。
タイトル:Effects of Ozone Treatment on Personal Protective Equipment Contaminated with SARS-CoV-2 (nih.gov)
訳:「新型コロナウイルスで汚染された個人用保護具に対するオゾン処理の効果」
研究者:Bernardino Clavo,1,2,3,4,5,* Elizabeth Córdoba-Lanús,6,7,8 Francisco Rodríguez-Esparragón,他。
研究機関:1Research Unit, Hospital Universitario Dr. Negrín, 35019 Las Palmas de Gran Canaria, Spain;ネグリン大学病院研究ユニット、ラス・パルマス・デ・グラン・カナリア島、スペイン
Chronic Pain Unit, Hospital Universitario Dr. Negrín, 35019 Las Palmas de Gran Canaria, Spain ネグリン大学医学部附属病院 慢性疼痛病棟
公表雑誌:Antioxidants (Basel). 2020 Dec; 9(12): 1222.
結果2 「オゾン濃度2000ppm」で処理した個人用保護具 (PPE) ガウンに付着した新型コロナウイルスのPCR反応によるRNA構造の保存状態の検討
<図2の見方>
下の図2は、2000ppm(4g/立法メートル)のオゾンで、個人防護服を30秒、1分、5分、10分間処理した後、新型コロナウイルスの遺伝情報破壊の状態をPCRで調べた結果です。
横軸は、PCR反応の増幅回数を示しています。
縦軸は、PCR反応で増幅させたウイルスの塩基数の変化を対数で現しています。
右端のポジティブコントロールの矢印は、オゾン暴露を行ったことを示しており、
30s(秒)、1分、5分、10分は、2000ppmで処理した暴露時間を示しています。
黄色のカーブは、オゾンに暴露させていないMA2バクテリオファージのコントロールです。
<図2から解ること>
1)2000ppmのオゾンで30秒以上暴露された新型コロナウイルスの遺伝情報は、ある程度破壊されていることが解ります。CT値=2000ppm×0.5=1000。
2)そして1分間の暴露で個人防護服に付着したウイルスはほぼ確実に破壊されていることが解ります。・・・CT値=2000ppm×1分=2000。
3)2000ppmのオゾンで10分間処理した場合には、遺伝子の増幅は全く検出されませんでした。 ・・・・ウイルスのRNAが完全にバラバラになっていると考えられます。
この時のCT値=2000ppm×10分=2万。
結果3 「オゾン濃度500~40000ppm」で処理した個人用保護具 (PPE) ガウンに付着した新型コロナウイルスN蛋白のPCR反応によるRNA構造の保存状態の検討
<図3の説明>
下の図3の縦軸は、蛍光物質をラベルした塩基がPCR反応で増幅された場合には、蛍光強度が増幅しますので、その蛍光強度から、増幅された塩基数の目安が示されています。
横軸は、PCR反応による増幅回数を示しています。
そして、グラフの右側は、オゾン濃度が上から、500~40000ppmで5分間暴露した時、ウイルスの遺伝子でターゲットN蛋白の破壊度合いをグラフにしています。
<図3のグラフから解ること>
1)500~40000ppmの異なるオゾン濃度での5分間のオゾン曝露後、個人防護服で検出されたSARS-CoV-2(N遺伝子増幅)を示しています。
このグラフから、オゾン暴露濃度の上昇に伴い、ウイルスの遺伝情報の破壊が進んでいることが解ります。
2)グラフ右側で、一番下の40,000ppmのオゾンでは、ウイルスの遺伝情報は、全く増幅されていません。