新型コロナウイルス・ワクチンの承認20210214 (4)発症予防効果
新型コロナウイルス・ワクチンの承認20210214 (4)発症予防効果
「(1)ワクチンの承認審査」では、承認審査機関(PMDA)でファイザー社の新型コロナワウイルス・クチンの審査が成された情報をご一緒に確認しました。
「(2)審査の概要」では、ファイザー社製・新型コロナ・ワクチンの審議結果報告書から、非臨床薬理試験及び臨床的安全性に関する審査の概略についてご紹介させて頂きました。
「(3)副反応の概要」では、副反応の概要についてご一緒に確認しました。
今回は、ファイザー社の新型コロナ・ワクチンを「独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が審査した「審議結果報告書」から、ワクチンの有効性については、「発症予防効果」と「抗体価の上昇」について検討していますが、今回は「発症予防効果」ついて見ていきましょう。
ワクチンの有効性について (1)発症予防効果
・・・・表 13 治験薬 2 回目接種後 7 日以降の COVID-19 発症に対するワクチンの有効性について、「審議結果報告書」の25ページを参照して下さい。
下の表13は、Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccineと言う学術報告の表2のデータです。
<表13の見方>
N は臨床試験の参加人数で、新型コロナウイルスに対して感染歴のない約1.8万人にワクチンを接種し、ほぼ同数にプラセボを接種する臨床試験を行っています。
そして、2ヶ月の間に各群1.8万人の内、ワクチン接種群で8例が感染し、プラセボ群では162人が感染したことがわかります。
なお、下半分の「感染歴を問わない」と書かれていますが、論文には「新型コロナの感染歴があり、この試験時(ワクチン接種時)には感染がないヒト」と書かれています。・・・上半分の「感染歴無し」とほぼ一致していますので、説明は省略します。
次にCOVID-19確定例は、新型コロナウイルス感染例数を示しています。
次にVEは、ワクチンの有効性( vaccine efficac)を現しています。
この有効性は、両群の感染者数を比較しますと、
8/162×100=4.9% と計算されます。
・・・すなわち、ワクチン接種群とプラセボ群のNはほぼ同数なので、ワクチンを接種したことで162-8=154人(95%)は新型コロナウイルスによる感染を予防できた、あるいは発症を予防できたと考えられます。
このVE(ワクチンの有効性)の95%信頼区間については、検証(確認計算)のためのデータ(標準偏差)が不足していますので、確認出来ませんでした。
また、表の中央にある総追跡期間(1000人年)は、1000人当たり一年間追跡した「人×年」ですが、具体的にどう計算すれば上記の数値になるのかについては解りません。
最右端の30%以上の有効性を示す事後確率については、ベイズの定理を利用した確率計算ですが、これについてもここに示されている数値からでは確認計算できません。
(苦手なベイズの統計を復習してみます。)
<私見>
メディアで報道されている「ファイザー社のコロナワクチンの有効性(95%)」は、上記のデータも基づいた報道です。
この有効性95%とは、ワクチンを接種した事で、発症を95%抑制できる数値と考えられます。
しかしながら、少量のウイルス感染を予防できているかどうかはわかりません。
あくまでも発症予防効果であり、少量のウイルスが感染していれば、ワクチンを接種していないヒトに感染させてしまう可能性までは否定できません。
従って、ワクチンを接種してもこれまで通り、マスクの着用や消毒は継続していただきたいと思います。
さらに、この発症予防効果は、ファイザー社が緊急承認のために行った第3相臨床試験で集計された接種後2ヶ月余の間のデータですので、接種してから半年後や1年後の発症予防までも期待できることを確認していません。