髄膜炎 (2)髄膜炎の種類
髄膜炎 (2)髄膜炎の種類
髄膜炎の種類 ・・・細菌性と無菌性の髄膜炎があります
(A) 細菌性髄膜炎
1) 原因
細菌性髄膜炎の主な原因菌は、インフルエンザ菌b型(Hib)と、次いで肺炎球菌です。他にも髄膜炎菌、B群溶連菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌などが原因となる事もあります(髄膜炎菌だけが髄膜炎を引き起こすのではありません)。
2) 症状
発熱(40℃以上)、嘔吐、意識障害、頭痛、ケイレン、首筋の硬直、食欲低下が主な症状です。
3) 診断
背中の脊髄から針を刺し(腰椎穿刺)、脳脊髄液を採取する必要がある。細菌性髄膜炎の場合、脳脊髄液を顕微鏡で観察するとたくさんの白血球(好中球)と細菌が確認できる。
4) 予防
従って、小児ではヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの接種が有効です。
そのためには、生後2か月からワクチン接種を開始し、おそくとも6か月までには接種をはじめましょう。
また、高齢者や免疫力の低下した人にも肺炎球菌ワクチンの接種が有効です。
その理由は、肺炎球菌は免疫のはたらきが十分でない人や、乳幼児や高齢者に次のような様々な病気を引き起こすからです。
肺炎球菌によって起こる主な病気
肺炎、気管支炎等の呼吸器感染症や副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎、菌血症などがあります。従って、高齢者にも細菌性髄膜炎の予防ワクチンで肺炎のみならず、髄膜炎を含むこれらの病気も予防できると考えられます。
<肺炎ワクチン>高齢者向け品薄に 接種希望者が急増
肺炎(4) 二つの肺炎球菌ワクチンの違い を参照して下さい。
(B) 無菌性髄膜炎とは
1) 原因
細菌感染以外の原因による髄膜炎であり、主な原因として最も多いのがエンテロウイルスと言われるウイルスが夏に発生しやすい病気です。
その他、エコーウイルス、コクサッキーウイルス、ムンプスウイルス、リケチア、肺炎マイコプラズマ、真菌などの感染による無菌性髄膜炎があります。大部分がウイルス性感染であるため、髄液中にはリンパ球が優位となり、髄液培養で細菌は検出されません。
2) 感染経路
患者(患児)の、のどや鼻汁から飛び散ったウイルスによる飛沫感染と、便などに含まれるウイルスが手や食物等を介して口から入ることによる経口感染が主な経路です。
3) 症状
発熱、頭痛、おう吐が3大症状です。乳児では発熱の他に、過敏になる、不機嫌になるといった症状が目立ちます。突然これらの症状が始まり、1週間以内で回復して合併症や後遺症がない場合がほとんどです。発熱は低めで、ケイレンもまれです。
4) 感染予防
- エンテロウイルスに有効なワクチンはありません。
- 感染予防のために、うがい、手洗いを徹底してください。
- 栄養と睡眠を十分にとってください。
- 発熱、激しい頭痛、おう吐のある子どもは、学校や園を休んで早めに医療機関を受診してください。
- 鼻汁、吐物、便などは、消毒用アルコールまたは次亜塩素酸Naで消毒してください。
上記の(A)及び(B)の 「1)原因」で述べたように、様々な病原体が髄膜炎を引き起こします。そのため、髄膜炎を予防するための特異的なワクチンはございません。しかし、原因病原体の中にあるヒブや肺炎球菌に対するワクチン、ムンプスウイルスワクチンも髄膜炎の原因を一つ一つ取り除く事が出来ます。