放射性物質飛散に対する危険率の考え方
放射性物質飛散に対する危険率の考え方
この報道には二つの疑問が感じられた。
(1)健康に問題のない量の被曝量とはどれくらいの被曝量だったのかが公表されていない。
(2)飯館村の10代の子供達の30年後の発ガン率について、原子炉からの射性物質の飛散が問題がないという根拠はどこになるのか。 この2点である。
2011年4月2日、NHKは、発ガンリスク・アセスメントに関する番組でも、今回の放射性物質の飛散で小児がガンになる確率は0.25%で、400人に一人増えるだけであるから、たいした被曝量ではないとの報道がなされていた。
飯館村の小児の数はともかくとして、0.25%(400人に一人)の発ガンでは、確かに放射性物質の飛散が原因であったかどうかについては判断できないだろう。
しかも30〜50年も後に解ることなので、因果関係があるかどうかは、現在の飯館村の子供達がすべて亡くなった後で、他の地域の子供達の死因と比較したとしても、因果関係については推測の域を出ないだろう。
しかし、0.25%といえば、100人に対して0.25人であるから、その10万倍の1千万人に対しては25,000人という確率となる。
死亡率の比較
以前、このサイトでも述べてきたが、対1千万人に対する死亡数は、次の通りである事を示してきた。
(a) 交通事故:604人(2003年のデータ。 http://takamidai-clinic.com/?p=223)
(b) インフルエンザワクチンの副作用:2人以下 http://takamidai-clinic.com/?p=562
(c) タミフルによる副作用:19人(平成19年の報告では55例、接種総数を3千万人と仮定して1千万人当たりに換算した。)
但し、タミフルとの異常行動との因果関係については不明であるが、危険率の参考・比較データとして上げました。
これらのデータと比較すれば、上記0.25%がいかに高いリスクを飯館村の子供達が負わされたかが理解できる。
従って、この0.25%が健康には問題ないとするなら、(a)~(c)のリスクは無いも同然との見解を持っておられるのだろうか。
それとも「健康には問題ない。」と表明することで将来における健康被害の責任を回避しておこうとの意図の表れだろうか。