浅漬け騒ぎ (5)行政のいい加減さの理由
浅漬け騒ぎ (5)行政のいい加減さの理由
厚生労働省は2013年3月29日、「浅漬製造施設への立入り調査結果」を公表した。
経緯は、2012年8月に浅漬けを食べた7人が、O157による集団食中毒で亡くなった事から、これまでの食品衛生に関するずさんな現場と行政が明らかになった事から始まった。
さて、今回の調査結果は、次の通りであった。
施設 | 立入り調査施設数 | 指導を行った施設数 | 割合(%) |
一日最大製造量が100kg以上の施設 | 309 | 223 | 72% |
一日最大製造量が100kg未満の施設 | 1,172 | 1,028 | 88% |
合 計 | 1,481 | 1,251 | 84% |
※前回の指導により改善が確認された施設については、「指導を行った施設数」には計上していません。
2012年年11月16日公表分は以下の通りであった。
立入り調査施設数指導を行った施設数 | 指導を行った施設数 | 割合 |
5,476 | 4,926 | 90% |
上記の調査結果に対する厚生労働省の評価
2012年11月16日に指導を行った施設の割合90%に比べれば、2013年3月29日の全体調査結果84%と指導した施設数が減っている事から、改善が進んでいると言わんばかりの評価のようだ。
<私見>
ヒトが7人も亡くなり、多くの食中毒の被害が出たにも関わらず、厚生労働省の対応は、一般国民感情とはかなりかけ離れているのではないだろうか。
90%もの浅漬け業者がずさんな衛生管理の状態で浅漬けを製造していたが、行政指導により84%にまで改善したと言うなら、製造業者も行政も無責任さを露呈している事に気がつかないほど衛生感覚は無いに等しいではないか。
このサイトでも以下の通り、「浅漬け騒ぎ」として取り上げてきた。
浅漬け騒ぎ (2)O157に対する次亜塩素酸ナトリウム溶液による洗浄殺菌効果
上記、(1)と(2)では、塩素消毒について取り上げたが、現場の実態は、まったく消毒をしていなかった事が明らかにされた。
また、(3)と(4)では、厚生労働省の立ち入り調査のずさんさと、同省の行政指導内容における問題点を3点指摘した。
医療現場では、医療行為(投薬治療や予防接種など)で一人でも入院するほどの副反応が出ると医療行為による被害か、病気あるいは持病の増悪による症状悪化かで委員会まで作って協議している。それに比べて、食品行政に対する怠慢な姿勢は医療に従事する者からは考えられない基準の違いに映る。
浅漬けで亡くなっても国に被害補償の責任がないからだろう。浅漬けは自家製に限るような気がしないだろうか。