目の病気 (2) 目の検査
目の病気 (2) 目の検査
眼科で行われる基本的な検査についてご説明します。
(A) 視力検査
視力検査は5メートル離れた位置から、大きさの異なる記号や文字を見て、最も小さな記号や文字を識別できる能力を視力として判定します。
この検査には裸眼で行う裸眼視力検査と矯正用のレンズを着けて行う矯正視力検査があります。この矯正視力検査でも改善が見られない場合には目の病気を考える必要があります。
目の病気は、前回の (1) 目の構造と仕組み で示した構造上のどこかに異常がある可能性が考えられます。
(B) 屈折検査
目に入った光は、角膜と水晶体で屈折し、網膜上に像を結びますが、この屈折に障害があると近視や遠視、乱視などの屈折異常を生じます。この検査では、オートレフラクトメーターというコンピュータで自動的に屈折度を測定する検眼装置が使われます。
レフラクトとは、refract(屈折する)という意味ですので、オート(自動)レフラクト(屈折)メーター(測定機)ですから、自動的に屈折率を計測する機械の事です。
(C) 調節検査
この検査は近くの物にも遠くの物にもピントを調節する力を調べます。ピントの調節は水晶体のレンズの厚みを変えて、光の屈折角度を変える能力を調べる事が出来ます。目からどれくらい近くの距離でピントが合うかを調べる装置が近点計、また遠くの距離でもピントが合うかどうかを調べる装置をアコモドメーターと言います。この検査で老眼の程度を調べる事が出来ます。
アコモドとは、accommodative(調節の)という意味ですので、アコモドメータは調節計で、治る近視・治らない近視、また目の疲れの程度もわかります。
(D) 細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査 (slit-lamp microscopy)
暗い室内で検査を受ける人の額と顎を固定し、細く絞った光の束(細隙光、細隙灯)を目に当てて拡大鏡で目の中を詳しく調べる検査です。この時に使う装置を細隙灯顕微鏡検査と言います。 この検査では、結膜、角膜、前房水、虹彩、瞳孔、水晶体、硝子体、網膜など、目のほとんど部分の精密検査ができます。この検査で、各部の傷や炎症の有無、緑内障、白内障など、多くの目の病気が診断できます。
(E) 眼圧検査
眼圧を測定する検査で、主に緑内障の発見や診断のために行われる検査です。
しばしば行われる方法は、眼球に瞬間的に空気を吹き付け、角膜のへこみ具合から眼圧を調べる方法で「非接触型眼圧測定法」と言います。他には、事前に点眼麻酔を行ってから角膜に眼圧計を押し当てて眼圧を測定する方法もございます。
(F) 眼底検査
瞳孔から眼球の奥(眼底)をのぞき、硝子体の奥の網膜、脈絡膜、視神経の状態を観察する検査です(上の図を参照)。
網膜の血管を直接見る事で、眼底出血、網膜剥離、糖尿病性網膜症の診断で必要となる検査です。眼底を詳しく調べるために、検査の前に瞳孔を広げる点眼薬を使ってから行われます。
この検査にはいくつかの方法があり、眼底に赤外線を当てて網膜の状態で特に黄斑部の状態を調べる光干渉断層計を用いる方法や、蛍光色素を含んだ造影剤を静注して、眼底の血管を調べる蛍光眼底造影法などがあります。
(G) 視野検査
見える範囲や見えない部分の有無を調べる検査で、緑内障や網膜の異常を検査できます。
次回から目の病気の説明をします。