目の病気 (8) 緑内障の治療
目の病気 (8) 緑内障の治療
緑内障は、視野が狭くなったり、視野に欠損を生じる病気で、以下のような治療が行われます。
(A) 緑内障治療の目的
障害された視神経部位では、視野が欠損していますが、これを元に戻す事は出来ません。そこで緑内障の治療は障害の進行を抑え、視野の欠損が広がらないようにします。従って、緑内障は早期に発見し適切な治療を続ける事が最も大切です。
緑内障では、正常眼圧のヒトも含めて眼圧を下げる事で、緑内障の進行を抑えようとします。
(B) 治療法 主な治療法は次の三つです。
a) 薬物治療 緑内障治療の中心は薬物治療で、眼圧を下げるための点眼薬を使います。
点眼薬には、
1) 房水の産生を抑える作用のある薬
2)房水を流れやすくする薬 があります。
これらを緑内障の原因に応じて点眼薬を使い分けたり、組み合わせたりします。
種類も数も多く、その組み合わせ方も様々ですが、さらに新薬の登場もめざましい分野です。
新薬については、UMIN臨床試験登録システムで対象疾患名に「緑内障」を入力して検索しますと多くの臨床試験が行われている事がわかります。
b) レーザー治療
薬では眼圧が十分に下がらなかったり、視野異常の進行が止まらない場合には、レーザー治療や手術が行われます。レーザー治療には次の2つがありますが、いずれも結果的には房水の流れを改善し、眼圧を下げる事が目的です。
- 偶角が狭い場合、線維柱帯にレーザーを当て、線維柱帯の目詰まりを改善し、房水の排出を促す。
- 偶角が狭く、房水が流れにくい場合、レーザーで虹彩を切開し、房水を排出しやすくする手術。
c) 手術
薬物治療やレーザー治療でも眼圧を下げられない症例が対象となる手術です。
房水の流出経路を新たに設け、房水の流れを促すことで眼圧を下げる事が出来ます。
1) 房水の流れの悪い線維柱帯を切除し、房水を結膜下に流すバイパスを作る手術
2) 目詰まりした線維柱帯を切開する手術
3) 閉塞隅角緑内障で隅角が癒着している場合、癒着した偶角をはがし、偶角を広げる手術
<クリニックから>
いずれの治療を受ける場合でも、緑内障のタイプや重症度、生活環境、年齢、全身状態、患者さんの社会的背景などを考慮して行われます。従って、患者さんご自身がご自分の生活状況などを説明することで、どの治療を行うか選択されます。そのためにも、医師から勧められた治療に対して、理解に努めると共にご自身の希望や生活状況を説明する事が求められます。