認知症 (9)アルツハイマー病患者に対するペットの効果
認知症 (9)アルツハイマー病患者に対するペットの効果
認知症患者に対して、ペットとの接触がどのような結果をもたらしたのか、その調査結果を示します。
結果
犬と定期的に接触した男性(40才未満、40~59歳、60歳以上)は、ペットとの接触がなかった対照群の男性よりも心理的健康状態に関するスコアーでよいスコアーをもたらしました。
また、猫と定期的に接触した40才未満の女性は、猫と接触しなかった同年齢の対照群の女性よりも心理的健康面で良いスコアーを示した。
40~59歳の犬と接触した女性は、ペットが居なかった同じ年齢の女性よりも生活満足度と精神的落ち込みの計測に関しては悪いスコアーが記録されました。
結論
これらの調査結果は、認知症患者の精神衛生に関してペットと患者の接触でポジティブな間接的効果が見られたことを示唆しています。しかし、一部の患者ではマイナスの影響も見られました。
ペットとの関係は、40歳未満の若い女性患者及び男性認知症患者では心理的ストレスの一部を和らげるように見えましたが、40~59歳の中年女性患者グループでは同様な効果が見られませんでした。
<私見>
この調査研究で用いられた動物は、介助犬として認定された動物ではなくアメリカで家庭犬として訓練を受けた動物です。また、あらかじめ患者及び家族に対して犬が好きか嫌いかとか、犬と猫のどちらが好きかなどの意思確認をしていない事を考慮して、この結果についてお考えいただきたいと思います。
<補足>
アメリカと日本とではペットに対する訓練事情がかなり異なります。アメリカの都市部ではほとんどのアパートで、ペットを飼うことが可能で、当たり前の事です。但し、吠えたり、咬んだりと言った事がないように、都市部のペットのほとんどが、訓練施設で家庭犬としてのトレーニングを受けています。犬同士がすれ違って吠えることもありません。お店も「NO PET」と書かれていなければOKです。
その反面、ペットの排泄に対しては厳しく、放置すれば100ドルの罰金が課せられます。もし、周りの人や他の犬に対して吠えたり、咬んだりすれば訴訟の対象になってしまうため、ペットに対する「しつけ」あるいは訓練は欠かせません。