レントゲンの右と左
レントゲンの右と左
上の写真は、胸部レントゲン写真です。
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この画像で患者さんの右肺はどちら側にあるでしょうか?
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人体は左右対称にできている部分も多いですが、非対称な部分もあります。
わかりやすい臓器としての心臓は、やや左側寄りにあるので上の写真でも心臓を判断の指標と見るのがよいでしょう。
左右にある大きな黒い部分が肺であり、中央の白いおにぎりのような形の部分は心臓や大動脈などを含んだ縦隔と呼ばれる領域です。
真ん中にある背骨からの距離を考えると、向かって右側の方が心臓の陰影が若干大きいのがわかると思います。
つまり心臓の先端は向かって右側にあります。
したがって、患者さんの右肺はその逆側、すなわち、向かって左側にある黒い領域となります。
なぜこのように右肺が左側に位置するように逆転してしまっているのでしょうか?
理由はとてもシンプルで、患者さんと向い合って診察する医者の視点に合わせてあるからです。
肺の音を聞いた結果と、レントゲンの左右が逆になっていれば、ちょっと混乱してしまいますよね。
CTと呼ばれる体を輪切りにした画像においても、そのルールは守られており、患者さんの左側が、画像の右側に来るよう左右逆転して表示されるのが普通です。
参考文献:百島裕貴. 画像診断のトリビア. 2012.